春 蘭 ・・・
この気品あふれる山野草に会うために
この季節に私が必ず行く場所があります。
春蘭が咲き終わる頃には
新緑で鬱蒼とした森になるこの場所は私が生まれた山の近く。
春蘭が咲き始める今頃は
ようやく山藤の新芽が出始める頃・・・
私は子供のころ・・ よく山藤の新芽を摘みに・・・
木洩れ日が差し込むその林に遊びに行っていました。
カサカサ カサカサ・・ 乾いた落ち葉を踏む音が大好きでした。
藤の芽・・ それはとてもおいしい山の恵みでした。
藤の芽のゴマ和え・・ 父の大好きな一品でした。
生命力の強い藤の蔓はどこにでも生えていて
他の木に絡みついて枯らしてしまう厄介な存在らしいのですが
なぜか私はその蔓が昔から大好きでした。
山藤の花はまたとってもきれいですし・・・
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私が子供の頃・・ この林には・・・
足の踏み場もないほど *春 蘭* が咲いていました。
今のように山野草が注目されていなかった時代・・・
道端でもどこでも山野草だらけでした。
それでも・・ この *春 蘭* だけは・・・
子供心にも美しい花だと思って踏まないように気をつけて歩いていました。
私がそこを離れてから数年・・
久しぶりにその場所を訪れてその変りように驚きました。
あんなにあった春蘭がひとつも咲いていないのです。
まさかとは思いましたが・・ 思い当たることがありました。
春蘭がとても高い値段で取り引きされている・・・
という話を・・ どこかで耳にしたことがあったのです。
後から思えば・・ 山野草ブームの始まりだった頃だと思います。
私も私・・ その時はまだ・・
そのことをそれほど深刻に考えることもありませんでした。
あ~あ・・ なくなっちゃった・・ つまんないな~~~
それでも山なんだから・・ またすぐ育ってくれる・・・
ちょっと・・ おろおろしたものの・・ その程度の意識でした。
その後・・ バブルの絶頂期に起こるハイエナのような盗掘ブーム・・・
山野草のかわいそうな運命を・・ 当時の私は想像したこともありませんでした。
つづく
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