2009/04/20

* 花の安曇野めぐり-15- 幽玄・・ 山桜・・・ 隠遁 (二)。

  
  




    「山桜はきれいだよなぁ。」



    花のことなどめったに口にしなかった父・・・ 


    それなのに・・・

    まだ若かった頃から山桜のことだけはそう言っていました。

    今にして思えば30代の頃だったように思います。


    その時代は男が花のことなど口にしたら・・・

    それこそ「男がすたる」・・・ だったのかも知れません。



    今・・・  

    父の山桜への想いがとてもよくわかります。




    やっぱり山桜ほど幻想的で美しい花はありません。    幽玄・・ 山桜・・・







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ストーブに次々と薪を入れながら
    モリさんは私のとぎれない質問に・・・



    「そうさなぁー ちょっと待ってろよ・・・ ・・・ 」
    「おお おお そうだ そうだ・・・ そんな時代だったさ・・・ ・・・ 」





    「ねえ、モリさん・・ モリさんがはじめに行ったのはどこの山だったの?」
    「ツバメ さ。 ボッカでな。」
(通称ツバメは・・燕岳・・ツバクロダケのこと) (ボッカは・・山小屋へ荷揚げする人。)



    「ツバメまで荷物運んだってことだよね。 背中に背負って・・ 中房から? 」
    「そうさ・・ 何だって運んだよ・・ 用がありゃ槍だってどこだって行ったでな・・ 」



    「燕から槍ヶ岳って表銀座だよね。 二泊三日のコースでしょ・・ 」
    「遊びじゃねえでそんなことしちゃいられねぇだよ・・ 日帰りさ・・ 」



    「・・・ ・・・ ???  えっ 無理でしょ そんな・・・  どうしてまた・・ 」
    「それがな・・ 荷物ショッて行くわけじゃねえだよ・・ 」



    「・・・ ・・・ ???  はぁ? 何しに行くの?」
    「郵便配達さ・・ 現金書留や手紙届けに行くわけさ。 郵便局から頼まれてな。」



    「現金書留? 槍ヶ岳に?? 」
    「現金書留だでな・・ どうしてもハンコもらって来なきゃいけねぇだよ。 ハッハッハッハ・・ 」



    「燕-大天井-西岳-東鎌尾根-槍ヶ岳でしょ?  それ 日帰り? 」
(私は地図で知っているだけ^^)
    「朝5時ごろ出てな・・ 大天ヒュッテでお茶もらってさ・・ 西岳ヒュッテに顔出してさ・・ 」


    「あの東鎌尾根・・ 通るんだぁーー  吹き飛ばされるってことはないの? 」
    「まあな・・ 山の風だでな・・ そよ風じゃねえぞ・・  ハッハッハッハ 」



    「わあコワッ だめダーー。  でも・・ 一度は行きたいんだよねーー。」
    「縦走はダメなんだよねーー 私。 槍ヶ岳から見た時・・ 鎌尾根は絶対ムリだと思ったもん。」





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表銀座(おもてぎんざとは

北アルプス山麓の中房温泉を基点とし、
合戦尾根を登り常念山脈を大天井岳まで縦走し、
東鎌尾根の喜作新道を経て槍ヶ岳へ至る登山道の名称である。




 上記解説 及び 写真・・Wikipedia・・より

← 左上の青い所が日本海


← この分かれ目が白馬岳

← (この山脈は後立山連峰)

← 木崎湖・青木湖

← 真ん中が黒部ダム (この左側が立山連峰)


この辺りの平野一帯が安曇野
← 燕岳 (表銀座コースの基点・中房温泉から登る)

← 槍ヶ岳 (中央のY字の白い峰・表銀座の終点)

← 穂高岳 (槍ヶ岳続きの稜線の折れた所)


← 上高地 (大正池が見えている)












    モリさんはこの山々を全部歩いているんですって^^

    まるでカモシカですね^^



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    「そこ・・ 何時間で往復できるの? ほんとに夕方までには帰れる?」


    「10時間ぐらいだな。 夕方にゃゆっくり帰れるさ・・・ 山は毎日違うでおもしれぇーだよ・・・ 」




  


    今は隠遁しているけれど・・・

    若いころのモリさんは・・・ 

    地下足袋の登山家・・・ 単独行で早足の 「加藤文太郎さん」 にそっくりね^^

 

    彼は・・・ 北鎌尾根で・・・ 30歳の若さで・・・ 亡くなってしまったけれど・・・ 
    





    
さちと山の話してたら・・・  日が暮れるね^^

    青柳常夫さんもお話したらこんな人なのかな^^ 




    モリさんの山のお話・・   時々・・ 休憩をはさんで・・ まだまだ続きますけど^^  


                                               つづく  
   







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