2009/04/19

* 花の安曇野めぐり-14- 幽玄・・ 山桜・・・ 隠遁 (一)。

        
  




    幽玄・・ 山桜・・・



    振り向けば

    そこは日当たりも良く一面の山桜なのだけれど

    ここではやや日陰のこちら側が私は好き。


    毎年必ず行くけれど・・ ここはなかなか咲く時期が読めない。

    5月にかかる年があるかと思えば・・ 今年のように4月半ばだったり・・・


    ここに来て山の中を歩いていると・・ 

    いろいろなことに想いが及んで時間を忘れてしまう。





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    山男のその人の小屋には煙が立っていた。
    いつもはいるのに猫しかいない。


    その猫は誰にもなつかない。
    私の顔を見てさーと逃げてしまった。


    私は写真を撮りに山に分け入ってみる。
    2日ほど遅かったらしく色がさびしい。


    満開の日にはげしい雨が降ったらしく、山の中はしっとり濡れていた。
    誰もいない山の中は本当に静かで、風もなく小鳥のさえずりだけが聞こえる。




 
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    2時間ほど山を見ていて帰ろうと思った時、、、車の音がした。
    見慣れた軽トラック。 山男さんのお帰りだった。


    「おお、寄ってけや。 2日遅かったな。」 
    「うん、そうみたい。 寄らせてもらっていい?」


    手作りの小屋は
    一応、裏に部屋らしきものもあるにはあるけれど
    ストーブを置いた土間の周りをブルーシートで囲って
    風が入らないようにしてあるところを居間にしているらしい。


    さすがに、今まで、一人でそこにお邪魔したことはなかったのだけれど・・・
  



 
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    体は大きくはないけれど、眉が太く髭の濃いその風貌はどこから見ても山男。


    長い間・・・
    ボッカの仕事をしていて
    その後、遭難救助隊員として
    北アルプスのあちこちに常駐していたという、根っからの山男さん。

    (ボッカ・・・ 昔、まだヘリコプターで荷揚げをしなかった頃、山小屋への荷物を背負って運んだ人)




    私は・・・ ずーと前からこの人の山の話が聞きたくて聞きたくてうずうずしていたの。 


    でも・・・ 長いお付き合いなのに・・・ 機会はなかなか訪れなかったのでした。




 
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昭和9年生まれ 75才。 


    飛行機から見るより、もっと隅々まで北アルプスを知り尽くしている。

    上高地のホテルが、まだ避難小屋だった頃のことまでよく知っている。


    私が知りたい山のことを何でも知っている生き字引のような人。

    「変人さ。」 と 笑っていたけど  「山の変人さんなら・・・ 大好きよ 私。」 



    話を聞いているうちに・・・ いつの間にか・・・

    青柳常夫さんとお話しているような気がしてきました^^



    75才。 山男。 

    ほがらかで変なこだわりが全然なくて。 

    山のことなら何でも知っていて。



    イメージが幾重にも幾重にも重なって・・・  とてもうれしくなりました^^            
                                               (つづく) 







 
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