2009/05/31

* 大好きなおばちゃん・・ と・・ 私。 -2- 深い業。

  
  




    おばちゃんが、
    深い業を抱えていたことを私は誰に聞いた訳でもなかった。



    おばちゃんの瞳の奥にある、、、
    どうにも救われようのないような、この儚げなものは何なのだろう、、、

    気性の激しさと裏腹な、このはかなげなものは何なのだろう、、、



    私には、それがとても不思議な、神秘的な心の世界に見えた。

    こんなに哀しい心で人は生きて行かなくてはいけないのだろうか、、、
    いつからか、おばちゃんが可哀想でかわいそうで仕方ない人に感じるようになった。



    おばちゃんには毒があった。 その毒がいつも誰かを困らせていた。
    嫌いな人には徹底的に冷たく当った。 


    それは、自分でもどうしようもない悲しい性だとおばちゃんはわかっていた。


    冷たく当る、、、 には、、、 当るだけの理由があった。
    けれど、そのことをおばちゃんは口にしない。 ただその人に冷たく当った。


    いろいろな話の端々からおばちゃんの半生を想像すれば、
    その理由は、私には手にとるようによくわかったのだけれど、、、


    それは、おばちゃんの素直に表せない深い想いから来ていたのだけれど、、、
    おばちゃんほど深い愛情を持ち合わせていた人は、他にはいなかったのだけれど、、、




    深すぎる愛は、、、 時には切れすぎる刃物になる、、、 猛毒になる。

    おばちゃんはそういう人だった。  生まれ持った深い業に悩まされ続けていた人だった。




    華のあるおばちゃんは、毒も合わせ持っていた。
    物凄く鋭い感性を持って生まれて来た人には、必ずある毒、、、


    そんなおばちゃんは、なかなか心の内を理解されず、、、
    いつも大きな誤解を招くようなことばかり繰り返していた。


    ちいさな頃から私には優しかったおばちゃん、、、
    私は、一度もイヤなことを言われた記憶がなかった。
    

    大人になっても、、、
    「おお おお、お前はかわいいなぁ、、、」 と、
    大好きな猫の頭を撫でるように可愛がってくれた。


    その可愛がり方は、、、
    周りの人には異様に映っている、、、 と、、、 小さな頃から私は感じていた。

   
    私にも、、、
    おばちゃんと同じ毒が潜んでいることに気づいたのは思春期の頃だった。







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