みんな抜いちゃうおばちゃんだったの。
おばちゃんが残していたのは
自分が好きな*松葉ぼたん* と
おじちゃんの好きな *オダマキ* だけ。
おじちゃんの好きな *オダマキ* だけ。
もう二人ともいないの。
この庭に二人の姿はないの。
思い出の花だけが咲いているの。
この庭に二人の姿はないの。
思い出の花だけが咲いているの。
私、おばちゃんが大好きだった。
お花、みんな抜いちゃうのに、
それでも、おばちゃんのことが大好きだった。
山にいた頃、
私の家の隣に住んでいた、
わがまま気ままなおばちゃんは、
なぜか私だけを特別によく可愛がってくれたの。
おしゃれでとてもきれいなおばちゃんだった。
10代から東京で働いていたおばちゃんは、
山にはとても住めない人で街が大好きな人だった。
二人には子供がいなかった。
まだ、学校にあがる前のこと。
山育ちで、、、
掘ったばかりのイモみたいな不細工な私を連れて
おばちゃんはよく街へ買い物に行ったの。
おばちゃん、、、 恥ずかしくなかったのかな?? 今でもそう思う。。。
あんなにおしゃれで、、、
コロンの匂いをさせているような素敵なおばちゃんが、、、
イモみたいな私を連れて街を歩いていたなんて、、、
おばちゃんは不思議な人だった。
どこに行っても物怖じしない度胸の据わった人だった。
男の人並みの大酒呑みで、物凄く歌のうまい人だった。
若い頃からあんなに味のある歌を唄えていたおばちゃん。
おばちゃんの歌には、、、 深い何かがあった。
歌は、、、
心の底の底の、、、
深い深いものを映すものだと教えてくれていた。
私は未だかつておばちゃんより歌のうまい人に会ったことがない。
本当に天性のうまさだったと思う。
演歌も民謡もこのおばちゃんの右に出る人はいないと私は今でも思っている。
賑やかなことが大好きで、、、
大好きで、、、大好きで、、、大好きで、、、 とっても淋しいおばちゃんだった。
私は、このおばちゃんに、、、
人間には、、、 どうにもならない深い業があることを教えられた。
そんなことを、、、
軽く口にするようなおばちゃんではなかったけれど、、、
深い深い業を抱えたおばちゃんだった。
そんなおばちゃんの姿、それは、私にだけ見えていたのだと大人になってから知った。
ある時、おばちゃんが、、、
「さち、、、 ちあきなおみの、さだめ川のレコード買って来て。。。」 と 言った。
ちあきなおみ さだめ川。。。
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