2009/03/26

* 歌に浪漫があった時代 ― 3 ―  李香蘭 サヨンの鐘



























李香蘭のカセットテープ。



ここ数年はあまり聴くことがなかったのですが
改めて聴いてみるといろいろなことが鮮明に見えてきます。



私はこの方のことをおぼろげにしか知らない・・・

今回少し調べてみて・・・ 
その後の波乱に満ちた半生を詳しく知ることができました。


このエキゾチックな美しい容姿が招いた悲劇だったのでしょうか。


10代で少女のかわいらしさと大人の女性のなまめかしさ妖しさの両方が・・・
ひと目見ただけで誰でも虜になってしまいそう。 




父の時代のマドンナ(女神)

時代を象徴するその数奇な運命。




李香蘭としてスターの座にいたのはたった数年・・・
自分の意志とは無関係に時代は李香蘭を追い詰めて行く・・・



この時代の背景を私はよくわからないけれど・・・
戦乱に巻き込まれて行く人々の無力さのようなものを感じてとても哀しい・・・   胸が痛い。





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李香蘭の歌の多くを作詞しているのは・・・ 西条 八十 さん
(さいじょう やそ)



紅い睡蓮 ・ 蘇州夜曲 ・ 蘇州の夜 ・ サヨンの歌 ・ 夜霧の馬車

乙女の祈り ・ 迎春花 ・ ・・  そして・・・ この・・・ サヨンの鐘




全部・・・ 西条 八十 さんの 作品です。


昭和15年~18年に発売されていると記されていますから太平洋戦争の真っ只中ですね。



その時代に中国ではこんなに美しい歌が流行していた・・・

日本では軍歌真っ盛りだった頃ではないかと思うのですが・・・ 


その辺の実情がほとんど分からない私にはそのことがとても不思議です。





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どの歌も・・・ 詩も曲もとてもきれいで素敵なのですが

中でも私が一番好きな歌・・・   それが・・・  「サヨンの鐘」 です。



この歌の作曲は・・・ 古賀政男さん
昭和16年の発売ですから李香蘭19才でしょうか。



他の歌は聴いていて昭和初期の時代の懐かしさを感じるのですが
この歌だけは今から70年前に作られたとはとても思えないような斬新さを感じます。



私が知っている初期の古賀メロディー・・・

その・・・
はかなさ、切なさ、やりきれなさ・・・  それはまったくありません。




李香蘭の明るく澄んだ歌声・・・ 
どちらかというとさっぱりとした歌声・・・


哀愁を帯びた詩なのですが・・・ 全体にそういう感じはないのです。


それまでの愛らしい声質とは明らかに違っていて・・・
完成された大人の女性の美しい歌声・・・


詩も曲も本当に美しい・・・
歌としても完成されている・・・  そんな印象を受けます。


切々とでもなく・・・ 訴えるでもなく・・・
むしろ・・・ 浪々と・・・ 淡々と唄っている・・・


なのに・・・ その声の一部に何ともいえない浪漫が香っている・・・  そんな歌です。




哀愁を・・・ 浪漫を・・・ 
一文字に込めて・・・ こんな風に表現させることもできるんだ・・・  


改めて聴いてみて・・・
さすがに古賀政男さんだな~ と しみじみ思っています。





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ここで青柳常夫さんのことにふれると・・・ 
いかにも・・・ と・・・ 思われそうなのですが・・・


青柳常夫さんの唄ういくつかの歌に・・・ 


この・・・
哀愁・・・ 浪漫・・・ を・・・ 一文字に込める・・・  そういう感じがあるのです。 


そして・・・ その声に・・・ やっぱり・・・ なんともいえない浪漫が香っているのです。




このニュアンスを言葉で表現するのはとても難しいのですが・・・ 






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 サ ヨ ン の 鐘 


      作詞 西条八十  作曲 古賀政男


嵐吹きまく 峰ふもと 流れ危うき 丸木橋
渡るは誰ぞ うるわし乙女 紅きくちびる ああ サヨン


散るや嵐に花一枝 消えて哀しき 水けむり
蕃社
(ばんしゃ)の森に 小鳥は鳴けど なぜに帰らぬ ああ サヨン


清き乙女の真心を 誰か涙に偲ばざる
南の島のたそがれ深く 鐘は鳴る鳴る ああ サヨン




ああ サヨン・・・ 二番のここ・・・

この歌声は・・・ 世界中で一番美しい歌声・・・  
  私にはそう感じられて・・・



何度聴いても・・・ 胸が痛くなります・・・

その・・・ 切なく・・・ 
艶かしく・・・ 哀愁を帯びた歌声・・・   李香蘭は永遠・・・ 私のマドンナ。  







 
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