2009/04/30
* 花の安曇野めぐり-25- * 春蘭の咲く林にて * (二)
春 蘭・・・
山はずーと変わらない・・
というより・・ 変わるなんて考えたこともなかったの。
いつ来ても・・
いつも同じ花が咲き・・ 同じ風が吹いている・・
私がどんなに変わっても・・
森や林はビクともしないと思い込んでいた子供のころ。
どんなに私が年を取っても・・
何も変わらずいつもそこにあってくれるもの。
信じて疑いもしなかった子供のころ。
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何十年・・ 何百年の歴史が刻まれた *春 蘭* の 林。
ある日を境に失われて行った *春 蘭* の 林。
最初に持って行きはじめた人は誰? いつ?
ありったけの *春 蘭* を 商品にしてしまったのは誰?
私・・ やっぱり・・ そういう人が怖いです。
だから・・ この場所は書かないことに決めました。
それにしても・・
こんなにかわいいお花を・・ どうして根こそぎ抜いてしまえるんでしょう。
足の踏み場もないほど咲いていた頃なら・・
危機感がないのもわかりますが・・
最後の一本を抜いた人はどういう気持ちだったのでしょう・・・
それをしなければ今夜のごはんが食べられなかったの?
それをしなければ子供にごはんを食べさせられなかったの?
もしそうだったら・・
本当にそんな切実な状況だったら・・
それは・・ 私なんかが何かを言えることではないと思います。
でも・・ きっと・・ 違いますね。
春蘭は・・ 何の抵抗もできずに売られて行ったんですね。
かわいそうすぎます。 痛ましいです。 きっとぼろぼろ泣いていました。
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春 蘭・・・
長い時間がかかったけれど・・
ようやくこの林にぽつぽつ咲くようになりました。
ほんの少し残っていた根が・・
じっと耐え忍んだ何十年という長い時間を思うと・・
その健気さに涙が出そうになってしまいます。
この春蘭を・・
ほととぎす色の天使・・ と・・ 言った方がいらっしゃいます。
山の中にひっそりと咲いている姿は本当に天使のよう・・・
春蘭は・・ 日本の山々の春を彩る大切な財産だと思います。
今度こそ本当に大切にしてあげなければいけない・・ と・・ しみじみ思います。
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2009/04/29
* 花の安曇野めぐり-24- * 春蘭の咲く林にて * (一)
春 蘭 ・・・
この気品あふれる山野草に会うために
この季節に私が必ず行く場所があります。
春蘭が咲き終わる頃には
新緑で鬱蒼とした森になるこの場所は私が生まれた山の近く。
春蘭が咲き始める今頃は
ようやく山藤の新芽が出始める頃・・・
私は子供のころ・・ よく山藤の新芽を摘みに・・・
木洩れ日が差し込むその林に遊びに行っていました。
カサカサ カサカサ・・ 乾いた落ち葉を踏む音が大好きでした。
藤の芽・・ それはとてもおいしい山の恵みでした。
藤の芽のゴマ和え・・ 父の大好きな一品でした。
生命力の強い藤の蔓はどこにでも生えていて
他の木に絡みついて枯らしてしまう厄介な存在らしいのですが
なぜか私はその蔓が昔から大好きでした。
山藤の花はまたとってもきれいですし・・・
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私が子供の頃・・ この林には・・・
足の踏み場もないほど *春 蘭* が咲いていました。
今のように山野草が注目されていなかった時代・・・
道端でもどこでも山野草だらけでした。
それでも・・ この *春 蘭* だけは・・・
子供心にも美しい花だと思って踏まないように気をつけて歩いていました。
私がそこを離れてから数年・・
久しぶりにその場所を訪れてその変りように驚きました。
あんなにあった春蘭がひとつも咲いていないのです。
まさかとは思いましたが・・ 思い当たることがありました。
春蘭がとても高い値段で取り引きされている・・・
という話を・・ どこかで耳にしたことがあったのです。
後から思えば・・ 山野草ブームの始まりだった頃だと思います。
私も私・・ その時はまだ・・
そのことをそれほど深刻に考えることもありませんでした。
あ~あ・・ なくなっちゃった・・ つまんないな~~~
それでも山なんだから・・ またすぐ育ってくれる・・・
ちょっと・・ おろおろしたものの・・ その程度の意識でした。
その後・・ バブルの絶頂期に起こるハイエナのような盗掘ブーム・・・
山野草のかわいそうな運命を・・ 当時の私は想像したこともありませんでした。
つづく
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2009/04/28
* 花の安曇野めぐり-23- *居谷里湿原* の 清楚なお花たち図鑑。
キクザキイチゲ (うすむらさき) キクザキイチゲ (白)
水芭蕉 (ミズバショウ) あたし・・ 待ってる・・・
座禅草の赤ちゃん^^ ダ~レカ ダ~レカ 遊んで^^ ひとりぐらしの座禅草のおじいちゃん^^
立金花 (リュウキンカ)
キクザキイチゲ (つぼみ)
? (15cm位の小さな杉のような花??) ゼンマイの赤ちゃん家族 イナイイナイバァー うふっ^^
妖精が舞い降りたみたい・・・
*菊咲一華 (キクザキイチゲ)* ・・・
どうしても・・
咲いている姿を見たくて・・・
また居谷里湿原に行ってみました。
この間行ってから3日・・・
ここ数日の寒さ・・・
状態はほとんど変わらずそのままでした。 が・・・
菊咲一華は・・・
今朝・・ 開いたかな・・ という感じでした^^ ほんとにラッキー^^
神さま・・ 仏さま・・ 座禅草さま・・ ありがとう^^ 思わずお祈りしてしまいました^^
季節はずれの冷たい風に吹かれて・・ 静かに・・ ゆらゆら揺れていました。
何ていじらしい姿なんでしょう。
こんなに清楚なお花ってないですね。 また涙が出てしまいそうでした。
やはり・・ 野におけ・・ 山野草・・ ですね。
ここで咲いているからこその可憐さ・・ やさしさ・・・
どのお花も・・ 絶対に手にとってはいけませんね。
いつまでも・・ いつまでも・・ ここで咲いていてね・・ と・・ お祈りしてきました。
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2009/04/27
* 花の安曇野めぐり-22- *立金花・菊咲一華* の 群生地 居谷里湿原。
居谷里湿原・・・
立金花って水芭蕉のことが好きなんでしょうか^^
あの大きな葉に寄り添っていると安心なんでしょうか^^
しあわせそうにいっぱい咲いているんです^^
こんなにたくさん咲いているとさすがに見事ね。
湿原の遊歩道に沿ってずーと咲いているの。
艶のある瑞々しい葉の緑と
黄金色の花とのコントラストが鮮やか・・・
この季節は・・・
水芭蕉や座禅草に会いに行く人がほとんどなのでしょうけれど・・・
実は私もそうなんですけど・・・
でも・・ 仲良く咲いている他の花々を見つけると本当にうれしくなっちゃう。
まだまだ春も浅く種類は多くはないけれど
だからこそ見つけるとホントにうれしいのね^^
70才位の女性の方が立金花の群生しているこの様子を見て
いいわね・・ ほんとにきれいねって・・ 私に声をかけてくれたの^^
私もこういう所に行った時は、すれ違う人誰にでも声をかけちゃうの。
山に登った時の・・ あの・・ にこにこの挨拶がとても好きだから・・・
ただ 「こんにちは~~」 って言うだけなんだけど
そうすると・・ 必ず 「こんにちは~~」 って返してくれるのね^^
町では絶対にできない・・・
さわやかな気持ちのいい 「こんにちは~~~」 なのよね こういうのが大好き^^
菊咲き一華 (キクザキイチゲ)・・・
菊咲き一輪草ともいうみたいね。
これは薄むらさきなんだけど・・ 真っ白のもあるの。
3cmほどの華奢な感じのお花なの。
清楚な花姿にぴったりの・・ とてもきれいな名前・・・
キンポウゲ科 イチリンソウ属 の お花なんですって。
この日はまだ開いている花がなくて全部つぼみだったの。
清楚で可憐・・ これこそが山野草の持つ魔力^^
こんなお花に出会ってしまったら・・ もう引き返すなんて出来ない。
山野草ひとすじの深い罠に・・ 陥ってしまうの^^
きっと誰でも^^
どうぞ・・ 皆さま・・ くれぐれも・・ お気をつけくださいね^^
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2009/04/26
* 花の安曇野めぐり-21- *水芭蕉・座禅草* の 群生地 居谷里湿原。
湿原は風が冷たくまだ早春のたたずまいでした。
歩いてゆくと・・・
咲き始めたばかりの *水芭蕉* が ずーと先まで・・・
ひらひらひらひら・・ 蝶々が舞っているみたい・・・
*水芭蕉* って・・ 若いうちはお花もちいさいんですってね。
湿原そのものはそれほど広くはないんだけれど
*水芭蕉* と *座禅草* が・・ とにかくいっぱい咲いているの。
それと・・ 黄金色・・ の・・ *立金花 (リュウキンカ)* も・・・
それと・・ それと・・ うす紫の *菊咲き一華 (キクザキイチゲ)* が・・・
とにかくいっぱい咲いているんだけれど静かなの。
大町市のはずれの *木崎湖畔* から
東にほんの数分入るだけなのに
まわりは雑木林だからとてもひっそりとしているの。
遊歩道を一周しても一時間もかからないほどの小さな湿原。
あでやかさや華やかさはないけれど
とても清楚な雰囲気に包まれた湿原なんです。
水芭蕉が終わって初夏を迎える頃には・・・
*アヤメ* や *カキツバタ* がきれいに咲きはじめます。
新緑に彩られた山々に囲まれてひっそりと咲く可憐なお花たち。
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居谷里(イヤリ)湿原・・・
ここから白馬まではほんの10~15分です。
残雪まぶしい北アルプスの峰々がキラキラ輝いて迎えてくれます。
新緑の信州(信濃路)、安曇野にいらっしゃいませんか?
♪ 信 濃 の 友
緑が淡く野に萌えて 残雪白き山肌を
友よ登らん信濃の山に 友よ忘れじ信濃の山を
可憐な花が咲き出ずる 黒い岩肌 青い空
友よ登らん北アの峰に 友よ忘れじ北アの峰を
青柳常夫さんの歌。
残雪の北アルプスを見ながら聴く贅沢な時間・・・
この歌・・ 大好き・・・
どんなに聴いていても聴き飽きることがありません。 私は^^
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2009/04/25
* 花の安曇野めぐり-20- 桜未練。 湖に浮かび上がる桜・・・
私の・・
桜の旅の終点はいつもここ。
安曇野の北のはずれの湖に
静かに咲いているここの桜を見て
その年の桜への未練を断ち切ることにしているの。
そこへ行く途中にはもうライラックが咲き始めていたの。 花みずきも・・・
私が・・・
幽玄・・ 山桜・・ の・・ 夢の中にいる間に・・ 季節は進んでいたのね。
いつもこの季節は・・ 桜未練・・・
ああ・・ あんなに待っていたのに・・ もう終わってしまう・・・
でも・・ 今年の春はしあわせだった。
青柳常夫さんの山の歌と・・ どこにいる時もいっしょ^^
疲れたら山の中に車を止めて目を閉じて静かに聴くの。
私を魔法にかけてしまうような・・ 不思議なその声を。
心地いい風のように身体を包み込んでくれる・・ やさしい声を。
私が知っている山に思いを寄せながら・・・
まだ見ぬ憧れの山を思い浮かべながら・・・
私が知っている数少ない山男さんたちの心情を想いながら・・・
もう一度・・ もう一度・・ 山に登りたいと・・・
切ないほどに思っている・・ かつての山男さんたちに思いを重ねながら・・・
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青柳常夫さんやモリさん・・・
75才ってどういう年齢なんでしょう?
50年以上も前から山に登っていた方たちなんですよね。
山岳登山の華やかな時代を知っている方たち。
北アルプスや上高地の黎明期を知っている方たち。
私がいちばんお話を聞きたい世代の方たち。
50代・・ 60代の方では若すぎるのです。
お元気であれば90才のおじいちゃんでもいいの^^
だって・・ 80年以上も前からのお話が聞けるんですもの^^
どこかに・・・
お念仏のように・・ ずーと・・・
さちの耳に・・・
とぎれなく山のお話をしていてくださる方はいらっしゃらないでしょうか^^
同じ話を繰り返し繰り返し・・・
山のことばっかりなら・・ それでもいいんですけど^^
一生懸命聞かせていただきますけど^^
ちょっとか・・ すごくか・・ 病気っぽいかも知れませんけど^^
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2009/04/24
* 花の安曇野めぐり-19- 幽玄・・ 山桜・・・ 隠遁 (五)。
するりと帯を解いたような・・・
艶かしい・・ 幽玄・・ しだれ桜・・・
山桜ではありません・・・
看板に・・ おおきな偽りあり・・ ですね^^
どうか・・ おゆるしくださいませ^^
幹に沿って流れ落ちるような咲き方がなぜか時代劇っぽく見えて^^
桜・・ さくら・・ さくら・・ 幽玄・・ 桜七変化・・・
桜 さくら・・ あなたは・・ どこから来たのですか・・・
桜 さくら・・ あなたは・・ いったい何者なのですか・・ こんなに私を悩ませる^^
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昔の地図を探していたら・・・
ちょうどモリさんがいた頃の上高地の絵はがきが出てきました。
Post Card -7円-
今、50円の切手代がその頃は7円^^ そんな時代があったような気が^^
- 焼岳と大正池 (今はもうこんなに木はありませんね。) -
なつかしい色づかいです。
涙が出てきそうです。
私がはじめて大正池を見た時も確かにこれくらい立木があったと思います。
焼岳からはいつも噴煙が立ち昇っていました。 今もそれは変わりません。
1915年(大正4年6月)の大噴火で
梓川がせき止められてできたのが 「大正池」 なのだそうです。
最後に噴火したのは昭和37年の6月だったということです。
おだやかな姿の美しい焼岳ですが
いつ噴火してもおかしくない怖い活火山なんですね。
そんな焼岳にも登山道があって
山頂(2455M)まで3時間ほどで登れるのだそうです。
怖いもの見たい方は・・・ どうぞ^^
硫黄の臭いがプンプン・・・ 硫化水素ガスがモウモウだそうですよ^^
でも・・ 3時間と聞くと・・・ 登ってみたくなりますね^^
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今は隠遁しているモリさん・・・
私・・・
モリさんが
カモシカみたいに
ヒョイヒョイ北アルプスを跳び回っている姿を
一度でいいから・・ 見てみたいと思っていました。
今はとてもお元気なのですが
実は三年ほど前に病気をしてからは
はげしい気圧の変化はよくないと言われているのだそうです。
昔、登山基地だったころとはすっかり変わってしまった上高地。
モリさんはそのギャップを受け入れたくないのかも知れません。
無理に埋める必要なんて全然ありませんもの・・・
モリさん・・ もう上高地を歩くこともないのかな。
そう思うと・・ 私はとてもさびしいのですが・・・
モリさんの上高地は・・
モリさんの中で永遠に生きているんですね・・ 限りなく美しいまま・・・
私はモリさんのお話を・・ 北アルプスの山々と同じくらいたくさん・・・
それこそ・・ 大山盛りのごはんのように・・・
お腹いっぱいになるほど・・ 聞きたいと思っているのですが^^
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2009/04/23
* 花の安曇野めぐり-18- 幽玄・・ 山桜・・・ 隠遁 (四)。
モリさんが・・・
2日遅かったな・・ と言った・・ 山桜・・・
葉が茂りすぎているということなのですが・・・
近づいてみると・・ とてもすがすがしくてきれいです。
その日の朝も少し雨が降っていたらしく・・・
葉がしっとり湿っていて・・・
山桜の葉の・・・
やわらかで・・ さわやかな香りが漂ってきそうでした。 幽玄・・ 山桜・・・
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モリさんのお話を聞いて・・・
私は・・
「上高地:帝国ホテル」の
木村支配人さんのことをもう少し知りたくなりました。
- 上高地帝国ホテル・・Wikipedia・・より -
それほどの方なのだから
Yahoo や Google で検索してみたら
たくさんの情報があると思っていたのですが・・・
ある山男さんの青春時代の上高地の思い出として・・・
その方のHPの記事として・・・
たった一件の記録が残っているだけでした。
それでも・・・
その中からも・・ モリさんのお話のように・・・
木村支配人さんの・・・
気さくであたたかなお人柄がうかがい知れてうれしくなってしまいました。
冬、無人となった上高地を守って・・・
帝国ホテルの近くの小さな番小屋に住込んでいたのだそうです。
「上高地:帝国ホテルの支配人さん」 が・・・
まだ・・ 登山者の安全が確保されていなかった時代の・・・
冬の北アルプスの・・・
避難小屋の役割を果たしていたなんて・・ 考えたこともありませんでした。
積雪期の穂高、槍の登山を上高地から狙う登山者ならば
誰もが世話になっていた筈である・・ とも書かれています。
もしかしたら・・ もしかしたら・・・
青柳常夫さんや・・ そのお仲間の方たちとも・・ 親交があったりして^^
本当に・・・
山を・・ 上高地を・・ 心から愛していらした方なんでしょうね。
そして・・ 山の仲間を心から大切に想っていた方なんだと思います。
「上高地:帝国ホテル」 なんて恐れ多くて、
いつも通りすがりに風景として見ていただけでした。
私などには生涯縁のない存在だと思っていたのですが・・・
たった一人の・・ 木村さんという方の・・・
モリさんや・・ ボッカさん達へのやさしい心遣いにふれて・・・
息をしている・・ 普通の人がいる・・ 身近な存在になったような気がします^^
木村さんが冬過ごした番小屋はもう跡形もない・・ といいますから・・・
今どうなのかは知るよしもありませんが・・・
人・・ ひとりひとりが・・・
本当に生き生きと生きていたことを知るのは・・・
とてもとても・・ うれしいことなんですね^^ とてもとても・・ 幸せなことなんですね^^
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2009/04/22
* 花の安曇野めぐり-17- 幽玄・・ 山桜・・・ 隠遁 (三)。
山桜が美しいのは・・・
まわりの山々が織りなす
早春の淡い木々の芽吹きと
松や桧、杉など・・・
針葉樹の緑とのくっきりとしたコントラストに彩られるとき・・・
そして・・・
そこに・・・
音がないとき・・・
その静けさが美しさを更に際立たせるよう・・・
まるで・・・
羽衣につつまれた天女がそこに舞い降りたみたい・・・
あまり見つめていたら・・・
まぼろしのようにすーと消えていってしまいそう・・・
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「オレがお客を案内して行った時のことサ・・・」
ボッカのモリさんは・・・
山案内人のモリさんでもあったんですね。
なんといっても・・・
北アルプスのことなら自分の庭のようによく知っているのですから・・・
都会から来た登山者に頼まれて山を案内するのもモリさんの仕事だったそうです。
「オレがお客を案内して上高地の旅館に行った時のことサ。」
「当時はな・・ 山小屋がまだ旅館になったばかりのころでサ。」
「今じゃホテルなんてってるがな・・・」
「あの頃はな・・ 土曜日ったって15~6人しかお客なんかいなかったもんだよ。」
「当時は予約なんてもんもなくてサ・・・」
「夕方○○○旅館にお客を案内して行っただよ。」 (ちょっとその名前は書けませんが・・・)
「こんちはーーー ってなもんでサ・・・」
「ちょっ ちょっと お待ちください・・ 支配人を呼んで来ます・・・ ってサ・・・」
「オレたちゃ 訳がわからねえでな・・ どうしたことかと思ってたらサ・・・」
「そしたら支配人が来てな・・・」
「地下足袋・脚絆(きゃはん)の方のお泊りはご遠慮いただいております・・ とサ。」
「スッタモンダしたが・・ ラチが明かねぇもんでサ・・・」
「いい加減オレも頭にきてな・・・」
「山に来るに、地下足袋・脚絆のどこがいけねぇだい。」
「そういうことならお宅にゃ頼まねぇ。」
「帝国ホテルの木村さんに頼むで・・ ジャマして悪かったいね・・ って言ってやっただよ。」
「そうしたらな・・ その支配人・・ 青くなってな。」
「申し訳ございませんでした。 是非、うちにお泊りください。 是非 是非・・ ってサ。」
「どんなに頼まれたって・・ もうダメさ。」
「そのお客は帝国ホテルに泊めてもらったよ。」
「オレは小屋に寝させてもらったがな・・ ハッハッハッハ・・・ 」
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「へぇ~ 木村さんてすごい人ね。 どんな人なの?」
「東京から来てた人だったがな・・・ 」
「帝国ホテルの支配人でな・・ 上高地をまとめてる人だったな。」
「オレたちの面倒もよく見てくれてな・・・」
「困ったことがあったらいつでも相談に来るようにって言ってくれてただよ。」
「オレたちにも良くしてくれた人でな。」
「山に行ってた衆はみんな世話になった人だよ。」
「ああいう人は・・ 滅多にゃいねえな・・ もう・・ とっくに亡くなったがな。」
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ボッカって漢字ではどう書くのかと思って調べてみました。
「歩荷」・・・
力強い響きなのにどこか哀しみが滲んでいるような言葉でした。
モリさんからはそんな感じは微塵も感じられなかったのですが・・・
戦後まもない時代です。
必要不可欠な・・・
なくてはならない仕事だったにもかかわらず・・・
差別的な目で見ていた人がいたのも事実だったんでしょうね。
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歩荷とは・・・
人が自ら荷物を背に負って運ぶ運搬業者のこと。
物資を輸送する方法としてはもっとも原始的なもので、
すでに古代社会からその存在が確認されている。
歩荷が最後まで残ったのは牛馬が通えぬ山間地域で、
とくに中部山岳地帯では昭和になってからもみられた。
背負う重量は男が16貫(60キログラム)、女が12貫(45キログラム)くらいである。
歩行速度はきわめて遅く、
積雪期などは1日3里(約12キロメートル)しか行けなかったという。
- Yahoo百科事典より -
「山小屋だって今じゃホテル並みだでな。 あんな必要ねぇだよ・・・ 」
「山小屋は避難小屋じゃなきゃいけねぇ・・ 予約して泊まるなんて山小屋じゃねえサ・・・ 」
子供のころから知っているモリさん・・・
モリさんの怒った顔なんて一度も見たことがありません^^
明日も・・ モリさん^^
つづく
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2009/04/21
* 花の安曇野めぐり-16- 天を突く鋭峰 ・・ 桜の回廊をゆく。
はらはらと舞い散る桜の回廊を登りつめ・・・
トンビが旋回する空を見つめ・・・
陽が沈むのを待つ・・・
「光城山」 山頂・・ 2009年4月18日(土曜日) 17時57分・・・
中央の大きな山・・ 常念岳・・・
落日とともに・・
その右の尾根すじにくっきりと尖った
天を突く鋭鋒、、、 槍ヶ岳の穂先が浮かび上がりました。
こんなに小さくしか見えないのですが
みんな息を詰めてこの瞬間を待っていたのです。
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安曇野の平野からは見えない槍ヶ岳の穂先は標高3180M。
天を突く鋭峰は地元の人にとってもそれほど魅惑的な存在なのです。
どこか少し高いところに登ったりすると・・・
きっと口にするのが・・・ 「槍、見える?」 「槍、見えない?」・・・
山に興味を持つ人なら一度は登ってみたい憧れの山・・ 槍ヶ岳・・・
私も・・ もう一度・・ 登りたい・・ 槍ヶ岳・・・ 思い出しても・・ 怖いんですけど^^
- 暮れゆく北アルプス -
- 常念岳(2857m)・・槍(3180m)・・横通岳(2767m) -
- 有明山(2268m) -
- 光城山頂上(912m) -
- 光城山・・桜の回廊・・全景・・2009.4.17 -
明日は・・ また・・ ボッカ・・ モリさんの・・
ちょっと・・ おもしろい・・ 地下足袋と脚絆・・ の・・ エピソードを^^
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2009/04/20
* 花の安曇野めぐり-15- 幽玄・・ 山桜・・・ 隠遁 (二)。
「山桜はきれいだよなぁ。」
花のことなどめったに口にしなかった父・・・
それなのに・・・
まだ若かった頃から山桜のことだけはそう言っていました。
今にして思えば30代の頃だったように思います。
その時代は男が花のことなど口にしたら・・・
それこそ「男がすたる」・・・ だったのかも知れません。
今・・・
父の山桜への想いがとてもよくわかります。
やっぱり山桜ほど幻想的で美しい花はありません。 幽玄・・ 山桜・・・
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ストーブに次々と薪を入れながら
モリさんは私のとぎれない質問に・・・
「そうさなぁー ちょっと待ってろよ・・・ ・・・ 」
「おお おお そうだ そうだ・・・ そんな時代だったさ・・・ ・・・ 」
「ねえ、モリさん・・ モリさんがはじめに行ったのはどこの山だったの?」
「ツバメ さ。 ボッカでな。」(通称ツバメは・・燕岳・・ツバクロダケのこと) (ボッカは・・山小屋へ荷揚げする人。)
「ツバメまで荷物運んだってことだよね。 背中に背負って・・ 中房から? 」
「そうさ・・ 何だって運んだよ・・ 用がありゃ槍だってどこだって行ったでな・・ 」
「燕から槍ヶ岳って表銀座だよね。 二泊三日のコースでしょ・・ 」
「遊びじゃねえでそんなことしちゃいられねぇだよ・・ 日帰りさ・・ 」
「・・・ ・・・ ??? えっ 無理でしょ そんな・・・ どうしてまた・・ 」
「それがな・・ 荷物ショッて行くわけじゃねえだよ・・ 」
「・・・ ・・・ ??? はぁ? 何しに行くの?」
「郵便配達さ・・ 現金書留や手紙届けに行くわけさ。 郵便局から頼まれてな。」
「現金書留? 槍ヶ岳に?? 」
「現金書留だでな・・ どうしてもハンコもらって来なきゃいけねぇだよ。 ハッハッハッハ・・ 」
「燕-大天井-西岳-東鎌尾根-槍ヶ岳でしょ? それ 日帰り? 」(私は地図で知っているだけ^^)
「朝5時ごろ出てな・・ 大天ヒュッテでお茶もらってさ・・ 西岳ヒュッテに顔出してさ・・ 」
「あの東鎌尾根・・ 通るんだぁーー 吹き飛ばされるってことはないの? 」
「まあな・・ 山の風だでな・・ そよ風じゃねえぞ・・ ハッハッハッハ 」
「わあコワッ だめダーー。 でも・・ 一度は行きたいんだよねーー。」
「縦走はダメなんだよねーー 私。 槍ヶ岳から見た時・・ 鎌尾根は絶対ムリだと思ったもん。」
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表銀座(おもてぎんざ)とは
北アルプス山麓の中房温泉を基点とし、
合戦尾根を登り常念山脈を大天井岳まで縦走し、
東鎌尾根の喜作新道を経て槍ヶ岳へ至る登山道の名称である。
上記解説 及び 写真・・Wikipedia・・より
← 左上の青い所が日本海
← この分かれ目が白馬岳
← (この山脈は後立山連峰)
← 木崎湖・青木湖
← 真ん中が黒部ダム (この左側が立山連峰)
← この辺りの平野一帯が安曇野
← 燕岳 (表銀座コースの基点・中房温泉から登る)
← 槍ヶ岳 (中央のY字の白い峰・表銀座の終点)
← 穂高岳 (槍ヶ岳続きの稜線の折れた所)
← 上高地 (大正池が見えている)
モリさんはこの山々を全部歩いているんですって^^
まるでカモシカですね^^
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「そこ・・ 何時間で往復できるの? ほんとに夕方までには帰れる?」
「10時間ぐらいだな。 夕方にゃゆっくり帰れるさ・・・ 山は毎日違うでおもしれぇーだよ・・・ 」
今は隠遁しているけれど・・・
若いころのモリさんは・・・
地下足袋の登山家・・・ 単独行で早足の 「加藤文太郎さん」 にそっくりね^^
彼は・・・ 北鎌尾根で・・・ 30歳の若さで・・・ 亡くなってしまったけれど・・・
さちと山の話してたら・・・ 日が暮れるね^^
青柳常夫さんもお話したらこんな人なのかな^^
モリさんの山のお話・・ 時々・・ 休憩をはさんで・・ まだまだ続きますけど^^
つづく
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2009/04/19
* 花の安曇野めぐり-14- 幽玄・・ 山桜・・・ 隠遁 (一)。
幽玄・・ 山桜・・・
振り向けば
そこは日当たりも良く一面の山桜なのだけれど
ここではやや日陰のこちら側が私は好き。
毎年必ず行くけれど・・ ここはなかなか咲く時期が読めない。
5月にかかる年があるかと思えば・・ 今年のように4月半ばだったり・・・
ここに来て山の中を歩いていると・・
いろいろなことに想いが及んで時間を忘れてしまう。
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山男のその人の小屋には煙が立っていた。
いつもはいるのに猫しかいない。
その猫は誰にもなつかない。
私の顔を見てさーと逃げてしまった。
私は写真を撮りに山に分け入ってみる。
2日ほど遅かったらしく色がさびしい。
満開の日にはげしい雨が降ったらしく、山の中はしっとり濡れていた。
誰もいない山の中は本当に静かで、風もなく小鳥のさえずりだけが聞こえる。
---------------------------
2時間ほど山を見ていて帰ろうと思った時、、、車の音がした。
見慣れた軽トラック。 山男さんのお帰りだった。
「おお、寄ってけや。 2日遅かったな。」
「うん、そうみたい。 寄らせてもらっていい?」
手作りの小屋は
一応、裏に部屋らしきものもあるにはあるけれど
ストーブを置いた土間の周りをブルーシートで囲って
風が入らないようにしてあるところを居間にしているらしい。
さすがに、今まで、一人でそこにお邪魔したことはなかったのだけれど・・・
---------------------------
体は大きくはないけれど、眉が太く髭の濃いその風貌はどこから見ても山男。
長い間・・・
ボッカの仕事をしていて
その後、遭難救助隊員として
北アルプスのあちこちに常駐していたという、根っからの山男さん。
(ボッカ・・・ 昔、まだヘリコプターで荷揚げをしなかった頃、山小屋への荷物を背負って運んだ人)
私は・・・ ずーと前からこの人の山の話が聞きたくて聞きたくてうずうずしていたの。
でも・・・ 長いお付き合いなのに・・・ 機会はなかなか訪れなかったのでした。
---------------------------
昭和9年生まれ 75才。
飛行機から見るより、もっと隅々まで北アルプスを知り尽くしている。
上高地のホテルが、まだ避難小屋だった頃のことまでよく知っている。
私が知りたい山のことを何でも知っている生き字引のような人。
「変人さ。」 と 笑っていたけど 「山の変人さんなら・・・ 大好きよ 私。」
話を聞いているうちに・・・ いつの間にか・・・
青柳常夫さんとお話しているような気がしてきました^^
75才。 山男。
ほがらかで変なこだわりが全然なくて。
山のことなら何でも知っていて。
イメージが幾重にも幾重にも重なって・・・ とてもうれしくなりました^^
(つづく)
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2009/04/18
* 花の安曇野めぐり-13- 北アルプス一望 長峰山に立つ3人の著名人。
- 安曇野市 観光パンフレットより -
(バックの山は有明山)
左から 作家 : 井上靖氏 川端康成氏 画家 : 東山魁夷かいい氏
ここは光城山から歩いて30分ほど北にある、高さ 933M の 「長峰山」
川端康成氏はここに立ち・・・
安曇野の風景を 「残したい 静けさ、美しさ。」 と 絶賛されたといいます。
安曇野は・・・
西に北アルプス・・ 東に長峰山・光城山・・ を いただく山に囲まれた平野です。
この地形ですから・・ どこに立っても周りは山また山・・・
標高900Mの東山 (長峰山・光城山) から
標高3000Mに近い北アルプスの山々を真正面に望むのですから
そのロケーションは本当にすばらしいものです。
写真のバックの山々の様子から見ると季節は新緑の頃でしょうか?
前山の黒々とした有明山と残雪の北アルプス・・・
犀川の流れ・・ 安曇野の田園風景・・ 田植えが終わった頃・・・
安曇野がいちばん輝く季節です。
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光城山の桜の回廊です。 今年は一気に山頂まで駆け上りました。
- 桜の回廊 光城山 2009.4.17 -
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日本の文壇、画壇を飾るこの三人の著名な方たちが
どのようないきさつで安曇野を訪れたのか、私はよく知らないのですが、
こうしてここに立っているお姿は、或る時代の象徴的な光景にも思え、
改めて見てみるととても感慨深いものがあります。
三者三様・・・
個性がはっきり表れて、作品がそのままそこに立っているような印象を受けます。
振り返ってみると、この頃は確かにそういう明快な時代だったように思います。
井上靖・・・・・・・・「氷壁」 穂高の氷壁で起きたある遭難事故・・・ 切れるはずのないナイロンザイル・・・
疑惑の渦中におかれた魚津恭太は・・・ 山岳小説の原点・・・
川端康成・・・・・・「古都」 別々の境遇で育った双子の姉妹 千恵子と苗子・・・
美しい古都、京都の風景の中での出会い・・・ 近づきつつも切ない境遇の違い・・・
東山魁夷・・・「白馬の森」 鬱蒼とした幻想的な白い森に浮かびあがる白い馬・・・
どこかはかなげな・・・ そして・・・ 限りなくやさしい眼差し・・・
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幽玄・・ 山桜・・
そして・・ 私が会いに行ったその人は・・・
サスペンスの続きは・・・
明日の日記でご紹介いたしますね^^
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2009/04/17
* 花の安曇野めぐり-12- 北アルプス一望 ・・ 桜の回廊 ・・ 光城山。
- 光橋より光城山 (ひかるじょうやま) を望む (4月15日夕刻に撮影) -
- 光城山の方向から北アルプスを望む -
(観光パンフレット表紙)
この週末に満開になりそうな・・・ 桜の回廊・・・ 光城山。
高さ912M 長野道 豊科インターのすぐ近くで高速道路から見ると目の前です。
今年は満開がちょうど週末に重なりますので
大勢のお花見の人たちが麓から40分ほどかけて桜の回廊を登ります。
桜並木はどこにでもありますが
一時間近くもかけて・・・ 桜の回廊を登って行くという・・・
こんな素敵なお花見ができる所はなかなかないと思います。
そして山頂に辿り着けば北アルプスの大パノラマ・・・
夢みたいでしょ^^
晴れた日には槍ヶ岳の穂先まで見えるすばらしいロケーションです。
写真の中の一番目立つ三角形の山が・・・
安曇野のシンボル 「常念岳 (じょうねんだけ) 」 です。
槍ヶ岳はちょうどこの裏側に本当に槍のようにそびえているんですよ。
深い深い滑り落ちそうな谷をはさんで・・・
私、、、この頂上から見ました^^ すごくすごく怖かったです^^
- 常念岳 -
いつもの年は4月20日過ぎ頃に麓が開花して
花冷えで足踏みしながら一週間ほどかけてゆっくり登っていく桜の回廊・・・
あたたかな日が続いている今年はやっぱりスピードも早いですね。
明日は・・・ 皆さんもご存知の・・・
あのすばらしい方たちの写真・・・ お見せいたしますね^^ どうぞ お楽しみに~~~
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さくら・・・
さくら・・・
安曇野のどこかにさくらが咲いている間・・・
わたしはずーと桜から離れられないと思います^^
このブログに今までお付き合いいただいている方でしたら
さちのことは・・・ もうすっかりお分かりかと思いますので・・・
ああ まただ・・・ と・・・ 笑っておいてくださいね。 おねがいいたします^^
はじめていらしていただいた方は・・・ 何がなんだか・・・ このブログ・・・ ???
こんな感じでよろしかったら・・・ さちと遊んで行ってくださいね^^
これに懲りずにまたいらしていただけるとうれしいです^^
さちは・・・ とても変かも知れませんが・・・
さちの憧れの・・・ 青柳常夫さんは・・・
本当にすてきな・・・ すばらしい方ですから・・・ 誤解なさらないでくださいね^^
2009/04/16
* 花の安曇野めぐり-11- お話・・ 散る桜の花びらを・・・
内気なその女ひとが恋をしたのは二十才のときでした。
文学が好きなその青年は桜をとても愛していました。
ふたりはいつも城跡のある町の桜の木の下で会いました。
生まれてはじめての幸せな恋でした。
地味な着物でそっと逢いにゆく恋でした。
二年の月日が流れたころ別れは突然やってきました。
戦地に赴く青年を遠くから涙で見送りました。
待っても待っても便りは届きませんでした。
南の島の激戦で散っていったと風の便りに聞きました。
あの桜の木の下でまた会う固い約束。
何度の春を数えたことでしょう。
髪の白いおばあさんが・・・
毎年・・・ 城跡の陽だまりで・・・
誰かとお話しながら・・・ 散る桜の花びらを数えている・・・ と・・・
* おはなし * * 水千草 (すいちぐさ) *
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2009/04/15
* 花の安曇野めぐり-10- 花のともしび・・ 散りゆく桜・・・
桜がいちばん美しいのは散りぎわ・・・
ぽっと灯った花のともしび・・・
ゆらゆらゆらめきながら・・・
あでやかに舞い・・・
はかなげに散りゆくさくら・・・
そのはかなさに涙し・・・
未練な心を歌に詠み・・・
幾百年幾千年どれほど多くの人の心を惑わせてきたことでしょう・・・
どれほど多くの文人を悩ませてきたことでしょう・・・
そして・・・ 今もなお・・・ 散りゆく桜は・・・ 罪・・・
散りゆく桜は・・・ 罪の色・・・ 妖しき一夜を・・・ 罪が舞う・・・
* 水千草 (すいちぐさ) 作品集 ・・ より * * 桜 咲 く 罪 *
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